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例えば、風姿花伝で世阿弥曰く「ふと為出さんかかりを、うち任せて、心のままにせさすべし」とある。好きなように心のままにさせておくのがよい、と、あまり口出しをするとやる気をなくしてしまうから、とやかく言わないほうがいい、という話。これは7歳の子に芸事を習わせる時のことだから、年を重ねていけばまた違った教え方がある。

世阿弥の風姿花伝が今も残って読み継がれるのには、なにかを教えるということに能に限らず普遍的な考え方があるからで、芸事だと、その年齢によっての細やかな指導が必要でしょうが、7歳の子への教え方にも頷くところがあります。

さて、前置き長かった。

今日初めてナベサダのライブを観ました。場所は青山のブルーノート。

メンバーがまた素晴らしく、ドラムは私でも知ってるスティーブ・ガット、ピアノはイエロー・ジャケッツのオリジナルメンバーのラッセル・フェランテ。ベースはジョン・パティトゥッチ。

年齢からすると、ナベサダ86歳>ガット74歳>フェランテ67歳>パティトゥッチ59歳。

年齢など関係ないかもしれないけれど、今日のライブでとても印象的だったのが、ナベサダがパティトゥッチのソロを見守るような暖かい背中。

ガットにもフェランテにもそういう感じはなくて、それぞれの仕事してくれてるみたいな。パティトゥッチにしっかりしろよとかでなくて、ナベサダが見守ることで、パティトゥッチがいい仕事しようと、このセッションの中でナベサダを喜ばせたい、みたいなそんな交流が見えた感じでした。

とても勝手な印象かもしれないけれど、歌舞伎役者の大御所と若手が舞台を共にする時に、やっぱりそういう緊張感てあって、芸事はそうしてその空気が受け継がれていく、そんな光景を目の当たりにして、ナベサダのチャーミングでウィットに富んで、出しゃばらない、年の功というか、この人はこうして今まできたんだな、というのがしみじみ感じられて、お話するようにサックスを歌わせて、めちゃくちゃ格好いいのでした。

なんだか俗っぽい言葉だけど、その生き様は、私のような何でもないものにも、こんな風に生きたいと思わせるものがあって、そんな重々しい押し付けがましさなんて皆無なのですが、キラキラした感じにとてもとても元気付けられたのでした。

数日前のスマイルシンデレラの渋野のゴルフにも同じものを感じたし、かたや20歳、かたや86歳だけど、同じように元気をもらい、変なつながりですが風姿花伝を思ったのでした。

ライブは今日の今日だから、何にもまとまっていないけれど、どんな仕事でも、そんな風にキラキラできるように思う。

素敵でした。

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(竹田)

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