学生時代、カラオケによく通っていたころ、
年々歌詞の文字数が増えて、歌について行くのが大変になっているのを肌で感じたものでした。
工藤静香とかドリームカムズトゥルーとかを歌っていたのが、
大学生になる頃は小室ファミリーの安室ちゃんとか、Globeとか
卒業近い頃には浜崎あゆみとか宇多田ヒカルとか・・・
(ドリカム自身も早くなっていったし)
こういう感じになっていくと、「早口でも、いかに余裕を持って歌えるか」
となって、体育会系的な感じになってしまいます。
別の話
お客様とのお話しに出た中には、
Dudamel(指揮者)のBeethovenが賛否両論分かれる理由に、スピードが速すぎて・・・
という話があったり、
現代のピアニストやヴァイオリニストの演奏が、コンクール狙いで、
技術よりになっているという話があったり。
この2つの話は、同等の話ではないのですが、かなり大まかな見方というのは否めないながら、そういう印象が全体的にあるということは確かなんだと思います。
昔と現代とでは、インターネットやメールなどの普及で、スピードが早くなっていて、
それと共に音楽のスピードも早くなっているんでしょうか。
ところで、好きなアーティストの一人、フランク・シナトラ。
この仕事を始めたばかりの頃は、シナトラのバラード調のものは、
かったるい感じで聴けなかったのですが、ここへきて、バラード調のものがどれもすごくよく感じられるようになりました。
シナトラは、言葉の発音がしっかりしていて、一言一言に重さがあって、じんわり深く残っていきます。
この「Only the Lonely」は、恋人だったエバ・ガードナーとの恋が終わった頃に録音されたもので、シナトラの色々な思いをくみ取れますし、時には歌に自分の気持ちをのせることもあります。
ちなみに、このアルバムに参加しているネルソン・リドルも、お母さんと娘を亡くした後のアルバムだそうです。
何とも言えない悲しみ、喪失感が漂っているのですが、歌はそういう時の心のよりどころだったのではないでしょうか。
聴きながら、ぼんやりと昔の人のほうが歌がうまかったんだろうな、
上手い人が歌手になっているんだろうな、と思います。
・・・なぜならそういう曲をカラオケなんかで歌おうとすると、
退屈な歌になっちゃって、他人様に聴かせられるようには
とてもじゃないけど歌えないんですよね。
圧倒的な歌唱力と、歌心がないと成り立たないことだったんでしょうね。