もしかしてどこかのタイミングで聞いているかもしれないし、想像かもしれないけれど、出てほしい音というのがあります。
このメンバーで、このシステムなら、こう出てほしい。それ以上の音がした時は即買いです。事実、そうしてきました。自分の想像を超えた音は、欲しいのです。もちろん、ワタクシ常識人ですから、部屋のサイズとか、財布の具合とかはありますが、財布の具合は、常識範囲内で無理したとしても、オーディオでもファッションでも、予想を超えて、気になったらそれに付き合うしかないのですわ。
自宅のシステムは、当時身の丈以上のものを買い、それに引っ張られて大人になりましたが(語弊があるやもしれませんが)、新しい家で、どうも出てほしい音がせず苦労しておりましたが、今日、ニヤッとする音が出て嬉しい。
絶対に外せないのはエリントンのBack to BackのLoveless Love。
ホッジスのアルトサックスが、のびのびと自由に軽やかに、それでいて知的に、というのは、その息遣いの細やかさ、色っぽさが出ることが重要。地盤のしっかりした低域の上でないと、知的さも自由も軽やかさもくすんで、活き活きとチャーミングにならないのです。
何度聞いたっていい時は、心底かっこいいし、音が悪い時は良さが出ません。
この曲の楽器同士の間(ま)とか、ものすごく洒落ている。
楽器のメインを渡していくところは、まるでオペラの会話のようだけれど、わたしはモーツァルトのフィガロで心を震わせ、エリントンのバンドで体を揺らす。当然逆もあるのですが、ここのところ好きな音楽っていっぱいあるけれど、基準にしているのはそれかなー。
(竹田)