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武満徹という名前を聞いて浮かぶのは「繊細で難解な現代音楽」。
演奏会でたまたま聞いたことはあっても、割合避けてとおってきたので、映画音楽や映像音楽も手掛けていたことは知りませんでした。

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霞町音楽堂のイベントでチームを組ませていただいている音楽ジャーナリストの田中泰さんが、銀座百点に寄稿されるようになったのが、今年の1月から。
今月号では武満の映像音楽「波の盆」について触れられています。

先日、お客様宅で打ち合わせを兼ねた会があり、田中さんご自身からこの「波の盆」のお話を聴き、皆で聴きました。
人がいるのを忘れるくらい聞き惚れてふと顔をあげたら、場の皆さんも同じような雰囲気でした。

その後また様々なお話しで盛り上がり、さあそろそろ会を締めましょうと片付けをして洗い物などしていたら、どなたかが「もう一度さっきの『波の盆』が聴きたいなぁ」と。
蛇口の水圧を絞って、お皿を水で流すのが邪魔にならないようにしながら、聞こえてくる音楽に耳を傾け、
大きな丸い皿の上で水が行ったり来たりしては落ちていく水の流れを眺めていたら、不思議な心持がしました。

優しいけれど、ただ流されるだけでない、ずっと繋がっていく強さ、光が当たれば反射して煌めく、単純な起承転結ではない、少しづつ変わりながらずっと続いていくそんな音楽。
メロディはうっとりするほど美しいのですが、奥行きのある滋味深い、何回も聴いてしまうそんな曲でした。

このCDは尾高忠明指揮のNHK交響楽団演奏ですが、TIDALやDeezerでは、同指揮者で札幌交響楽団の沿道の盤がありました。

「波の盆」というのは1983年のドラマだそうで、Wikipediaによると「戦争によって引き裂かれたハワイ日系移民家族の姿と、それぞれの想いを描く。」とありました。ドラマは観ていないので何とも言えませんが、音楽から感じられる物語はピッタリはまりそう。
(竹田)

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