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連日イベントの話で恐縮ですが、今日はおんがくのはなし。
各自好きな曲を3曲、イベントご参加の方にお聞かせするということで、悩みました。

今日のおんがくのはなしは、候補に上がって結局かけなかったものたちのこと。
それを並べてかけてみたところ、共通点を見つけました。

それは「泣き笑い」

森繁さんの「知床旅情」なんか、若い時から聞いていたわけでもないのに懐かしさが込み上げてきます。
こういうものがいいと思うようになったんだなぁ。

大林宣彦監督の「草の想い」の歌詞にはまさに「喜びと悲しみの花の宴~」とあります。
これを主題歌にした映画「ふたり」(赤川次郎原作・大林亘彦監督)は、15-6歳の時にTVで見て、何とも言えない感情がこみあげてきたのを今でも覚えています。
死んでしまった姉が幽霊になって妹にだけ見えて会話できるというもので、出来の悪い妹の気持ち、姉の思い、姉への嫉妬や鬱陶しさ、生きることを失った姉の寂しさ、悲しさ、妹への心配、実に普遍的な様々な感情を織りなして、それを広島、尾道の景色が繋いでいく・・というものだったと記憶しています。
あの時の気持ちが鮮やか過ぎて、見直す気になれない映画の一つ。
だから音楽を何度も聴く。

武満徹の「波の盆」もTVドラマの音楽。私は見ていないけれど、音楽を聴くだけでも、良いドラマだったんじゃないかと想像できる。
この音楽は、瓶を優しく揺らすと、底のほうで澱になった忘れ去った記憶までゆっくりあがってくる。
思い出せそうで思い出せないような、または思い出したくないような、ほろ苦いような、そんな記憶も、この音楽は良いものに昇華させてくれる。

バルバラの「ナントに雨が降る」は内容が重たいのでイベントでかけるのは避けました。
亡くなった父を悼む悲しい曲ですが、ちょっと曰く付きのところがあることが近年わかって、内容を知ると、かなりつらいものがある。
心で涙を流しながら、一方で解放の喜びを持ってしまう、反面そんな自分を抑制するような、人の心の複雑さよ。

荒木一郎「空に星があるように」(これはBAHOのYouTubeのも好き)は囁くように、
九ちゃんの「見上げてごらん夜の星を」は歌い上げて、
どちらも星を見上げる時は、泣きたい時かなぁ。でも多分希望がある時なんだよなぁ。

酒井俊は声自体が泣き笑いみたいに聞こえる。この人の「ゴンドラの唄」がいい。

越路吹雪「ラストダンスは私に」は岩谷時子の詞が、もう、なんとも。
寂しさと可愛らしさと健気さと。
図々しさのかけらもない。こんな人に私もなりたい。

「Little Girl Blue」では、ニーナ・シモンの指が鍵盤の上を行き来するのが優しく寄り添って、悲しみを和らげる。

どれもたいせつなおんがく。
(竹田)

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