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なんと、半年もお待たせしてのご納品でした。
Brodmann VC1。

フランコ・セルブリンやボーニックと一緒に候補に挙がったBrodmannは、強力なライバルたちを抑え、誇らしげに音楽を奏でます。

ご新築の際にオーディオを断捨離され、再構築となった今回、きっとご自身のお好みを十分に理解されてのことだったのでしょう。
一度のご試聴で「これ」とすぐに決められたのですが、そこからご納品までが長い道のりでした。
Brodmannのキャビネットはまさに楽器そのもの。
八層のピアノ塗装で、十分に乾いてから塗装を重ねていくため、ただでさえ入荷にお時間をいただくのですが、その上コロナ禍ということもあり、通常の倍以上のお時間をいただいてしまいました。


VCシリーズの中でも一番小ぶりなVC1は、前面にツイーター、片サイドに13㎝ウーファーが搭載されています。キャビネットの内部はがらんどうで、一切の吸音材を使っていません。
この部分でも「楽器そのもの」という言葉がはまります。
特許をとっている「ホーン・レゾネーター」で、13㎝ウーファーといえど、低域は下までかなり伸びます。
オーディオは数多くあり、様々な考えでスピーカーは作られますが、Brodmannの技術者のハンス・ドイツは、ソナス・ファベールにおけるかつてのフランコ・セルブリンなのです。

VC1では、ウーファーを内側に向けるか、外側に向けるかで音場や音の雰囲気が変わります。
お客様のお宅では、壁に近い外向きに比べ、内向きは基音と倍音のバランスが良くなり、音が明瞭になるので、両方試し聴きをして頂いたたうえで内向きに決定。
(スピーカーの重量は、私でも持ち上げられるほどなので、こうしたセッティングの変更もラクチン。)

Brodmannをお待ちいただいている間に、お求めくださった、エバーグリーンの木目に座面が革のセブンチェアとも素敵で、やっとご納品ができたと嬉しく帰ったところ、後日にこんなお便りをいただきました。
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もう、ものすごく感動しています。
これまで、夜中に自分でセットアップして鳥肌が立つような音なのに、翌朝「あれっ、こんなんだっけ?」と思うことがありましたが、今回は感動が持続しています。
言葉で表現することが難しいですが、我が家にコンサートピアノとボチェッリがやって来たみたいなイリュージョンが出現しました。
ピアノのハンマーが弦を叩き、音が響いて行く感じがわかるんです、ピアノって打楽器なんだなぁと思いました。

我が家の狭い部屋で、こんなことが起きるなんて、まだ信じられません。
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お待たせした時間を埋めるくらい大きな喜びをお届けできますように。
そんな願いをBrodmannはさらっと叶えてくれたようです。
(竹田)

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