SOUNDCREATE LOUNGEの顔となっているHans J. WegnerのBear chair。
この週末は、このベアチェア他、デンマーク家具をLOUNGEにご用意していただいているKAMADAの鎌田さんに来てもらっています。
ベアチェアについて、ワタクシも少しお勉強。
鎌田さんのところで扱われているのは、主にヴィンテージのオリジナルAP Stolenのもの。
ちなみに近年復刻されたものはPP Mobler社によるものとなります。
はい、「AP??」「 PP??」「ウェグナーなんじゃないの??」
という方、「?」が飛ぶお気持ちよくわかります。
APストーレン、PPモブラーは工房の名前。
H.J.ウェグナーは、このベアチェアをデザインしたその人です。
デザイナーは一人、「ベアチェア」というモデルも1つ。
しかし、どこでもかしこでも作れるわけではありません。
元々は、ウェグナーがAP stolenのためにデザインした・・というと、ちょっと語弊があるのかもしれません。
デザインの過程については、不勉強でまだわかりませんが、この工房の得意とするところ、この工房ならできる、ということでデザインされたのだと思います。
作り手ありきのデザインで、デザイナーありきのベアチェアなのではないでしょうか。
1951年から作り続けられたこの素晴らしい椅子はやがてAPstolenで生産を終了するのですが、PP mobler社がその後引き継ぐのですね。
PP moblerは、1953年から木枠(フレーム)のサプライヤーをしていたこともあったためでしょう。
はい、ますますややこしいって?
そのお気持ちよーくわかります。
まずは、椅子ができるまでを早回しで戻していきましょう。
これ、張り替え途中のベアチェア。
左下の写真驚きますね。
もう少し寄ってみてみましょう。(下の写真は別の個体)
なんと背中に46個のスプリング。
更に、スプリングの上には、ホースヘア(馬毛)、それから白綿を袋に詰めたものが。
この上に表地が張られ、ボタン締めされているのだそう。
スプリングの背中部分を挟んだ、両耳の部分にも馬の毛がたっぷり入って、白綿が丁寧に張られています。
うちのスピーカーのTannoy Corner Canterburyの中も、こういう感じ↓で、吸音材を白い布で包んで綺麗に内側に留められていて、モニターレッドは当然のこと、細部まで感動的に綺麗だったのを思い出しました。
ところで馬毛といえば、高級品。
馬の鬣の部分、カットすれば生えてくるとはいえ、一頭から取れる量なんてそう多くないでしょうし、当然といえば当然でしょう。
しかし、座ってみたり触ってみたりすると中身が詰まっていてかなり弾力がありますし、このベアチェアに使う量ったら、結構ですよ!
さて、この写真は、ベアチェアではないのですが(フィンユール NV45)
これがフレーム。
ベアチェアも全部剥がしていくと、ここまでなります。
最初に戻りますが、PP Mobler社は1953年以降この木枠のサプライヤーとして、AP stolenとお付き合いがあったということですね。
上に巻き戻ると、AP stolenでこの木枠にスプリング、クッションとなる部分などで座り心地を調整していったのでしょうが、ここまで細かいことをウェグナーが自らディレクションしていたのでしょうか。それとも工房とのディスカッションの中で出来ていったのでしょうか。その辺はまだ謎。
ところで、KAMADAでは、基本的にはほとんど日本で表地を張り替えています。
なので、「ヴィンテージ」というと誰が座ったかわからない積年の色々が染み込んでいるように思われるかもしれませんが、その心配はご無用。
当時の素晴らしいものが、息を吹き返して、「ワタシのもの」となるのです。
最後に怖い話。
ウェグナーの家具は近年価値が上がる一方で、上でご紹介したような張り替え済みのベアチェアで、現在のところ200万円(税別)ですが、数年後には手に入らないくらい高くなってしまう。。。と言われています。
(もちろん今でも高いけれど、フィンユールNV45など、一脚500万近い・・)
さて、今日は夜もふけてしまったので、明日添削してもらって、間違いがありましたら青字で修正いたします!
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※ 掲載の張り替え画像はヴィンテージ家具の張替え専門店 Leprahaun chair hütte提供