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スピーカーの魅力を表現するとき、
生音に近いとか、生音よりも感動できるとか、そういうことをしばし言われます。
あるいは音の表現をするなら、音楽の根幹を成す中域の厚み、説得力のある音、解像度が高く分解能が高い、情報量が多い、音場が広くて壁が取り払われる、未体験レベルの、低域の沈み込み、無音部分の静けさ、、、
色々な言葉で表現してみたところで、文章でどれだけ書いても、自分の拙い語彙や文章力では全部同じに感じないだろうかと心配になります。

中でも、一番表現に悩むのはLINN KLIMAX EXAKT350です。
それこそ優れたオーディオについて表現する言葉はほとんど全部持っている。
加えて、究極のナチュラルで、品があってインテリジェンス。
ヴィンテージスピーカーの錚々たる面々と並べてこのスピーカーを所有される方は、「究極これだけでもいいかもしれない。」「ヴィンテージのスピーカーの魅力も内包している」と仰ったことがありますが、それは最近少しわかるような気がするのです。

新設の2階のルームチューニングに取り組む中で、苦労の段階はやっと超えて、一つセッティングを変えたその応えがどんどんわかりやすくなっていく中で、今日、はっとさせられました。

ずっと音を追いかけてセッティングをしていて、「ここの音を出したい」「あそこに音がない」「左と右の音色を揃えたい」とやっていった時、パズルのピースがあった瞬間「音楽」が鳴ったのでした。

その時目に入ったのは、窓の外のリンデン。
葉を落としながらも、その枝は力強く、季節のめぐりや年月の流れを、厳しくも大らかにその内側に持つ。斜向かいの元Legatoと挟んだ並木通りで今見えている景色。
見えていたはずなのに目に入っていなかったものが見えたとき、たくさんのことに気づきます。

LINNのスピーカーで音楽を聴いていると、しばしばそうした「ハッ」とすることがあって、とりわけフラッグシップのこのスピーカーはあまりにも多くの情報を持っているため、ある程度手間をかけないとそれが少々見えづらいところがあります。

KLIMAX EXAKT 350というスピーカーをもしかすると初めて理解した日だったかもしれない。私のオーディオ遍歴に新しい風が吹いたように感じたひと時でした。

でも、次の瞬間には新たな課題が。
まだ、まだ持ってる。見たい。聴きたい。知りたい。
ただいまこのスピーカーに夢中なのです。
(竹田)

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