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LINN LP12について昨日ノートをまとめていたことなど、まだ自分の言葉になっているとも思えないのですが、ちょっとトライしてみたいと思います。練習させてください。

この度、また新たな局面を迎えたLINN LP12の躍進は、上位モデルの電源部でした。
電源が新しくなったらよくなるのは当然なのですが、昨今の映画の宣伝とか選挙のキャッチーなコピーやフレーズに食傷している天邪鬼としては、だったら自分も雰囲気に頼るのやめようよ、とたまには自分を発奮させたりしてみます。

しかし、電源のことだけ知ろうとすると、その前段階があり、さらに前々段階があり、まだ完璧に理解しているわけではないので、ご質問があったらぜひ金野までお願いします。(ズル)

さて、始めてみます。
後日訂正入ったら赤字で訂正入れますので、今日は最後まで駆け抜けてみます。

世の中のターンテーブルは大まかに分けて、ベルト/ダイレクト/アイドラードライブがあったり、AC/DCモーターがあったり、ユニバーサル/カートリッジ固定のアーム、ストレート/S字アーム、ショート/ロングアーム、、など様々な局面でいくつかの選択肢があります。
(リニアトラッキングとか、レーザーとか、いろいろ言い出したらキリがないのでひとまず大まかな種類わけで)

ちなみにLINNはベルトドライブ、自社製のアームはカートリッジ固定のストレートアーム。(ショートのユニバーサルタイプはモデルによって搭載可能)
スタンダードモデルはACモーターです。
しかしながら、上位モデルにはDCモーターを採用しています。
それも2009年のRADIKAL発売以降のこと。

一般的なACモーターとDCモーターの違いは、理解が間違っていなければですが、
作る側からしたらACモーターの方が扱いやすいのではないでしょうか?
ACモーターは、基本回転速度が変わらない。
DCモーターは電圧が変わるとトルクが変わる。。つまり回転数が変わってしまう。
>>>この部分早速修正入れます!(11/21)
ACモーターは、電圧の変動によって基本回転速度が変わらない。
電圧によって変わるのはトルクです。

一方DCモーターは電圧が変わると回転数が変わります。
つまり電圧を調整することで回転数を決定するわけです。

まずこの側面だけ見ると、ちょっとDCモーターはターンテーブルに使うには大変そうに思えます。

では・・とACモーターを詳しくみていくと・・
LINNの場合、24極シンクロナスを採用。
これは電源周波数が一定であれば、一定の回転速度で回る。
電圧変動や負荷変動を受けにくいもの。
ThorensやYAMAHAなどでも採用されているし、
弩級ターンテーブルのTechDASもシンクロナスモーター(※)です。
※ 5,500万のAirforce Zeroは12極シンクロナス
こうしてみると、ACモーター、間違いなさそうですよね。
じゃあそれでいいじゃん!

なのですが、LINNというメーカーには、これまで見てきて思うに、製品づくりに一貫した姿勢があります。
「できる限り短い経路、少ないパーツ、少ない接点で静かな環境で信号伝送する」
これが、大前提にある。

そうしたLINNの立場からすると、DCモーターには大変魅力的な点があるのです。
・コイルと磁石でカクカク回る、コギングがない。→スムーズ
・ACの80V交流(コンセントに来ているのと同等)に対して、0.2V直流。これは、ラインレベル出力の10分の1。
・ACモーターでは、上記のように磁石をたくさん使うので磁束が漏れる。が、DCでは磁力が小さい。

とてもコンパクトなLINNのターンテーブルでは、青い部分の下にモーターがあります。
カートリッジの針先はレコードをトレースしながら中心へ向かっていくのですから、モーターの磁束の影響は「ありません!」とは言い切れません。

大型のターンテーブルの中には、モーターをかなり離して配置しているものもあります。
おそらくそうした影響を考えてのことと思うのですが、そうすると今度は振動対策が必要になります。
振動源となるモーターがターンテーブルから遠く離れるのは良いことに思えますが、機器はより大掛かりに大きなものに、精度を上げていけば上げていくほど値段も高くなっていくでしょう。
LINNからすると、パーツが増えることは大前提と反するので、それは採用しないのでしょう。そもそもパーツをこのLP12の枠外に置くことはまず考えないでしょう。

さて、だんだんDCモーターに魅力を感じてきました。
でもそもそも、回転数が電圧によって変わるんじゃ困ります。
そこで、2009年発売のRADIKALでは、回転管理システムとして、光学式センサーとDSで培ったクロック技術を使ってデジタル制御します。(11/21修正)
それが大成功。

その機構は、ACモーターだって、より回転精度をあげたいので、LINGO4にも応用されました。LINGO4の場合は、LINGO4はACモーター採用ですので、交流電流のサインウェーブを描くために電圧変更は不要なので、電源周波数などを調整するためにその管理システムが採用されたというわけですね。(11/21修正)

DCモーターと、その回転精度の高さによって(更に内臓フォノイコURIKAもこの電源でコントロールすることで接点がまた減る!)、LP12のクオリティはそれまで以上に高みに上り詰めました。

そして、そのモーター駆動に最重要である「電圧の安定化」を図ったのが、
今回の新生RADIKAL!というわけです。

まずはここまで・・・。

ちなみに、各社ターンテーブルは、それぞれの考えがあってどういった機構を採用するかはトータル的な見解が必要なため、モーターのことだけに目を向けることは控えたいと思いますが、圧倒的少数派のDCモーターが、なぜLP12の上位モデルに?というその理由をほんの少しだけご紹介したいと思いました。
ACモーターが悪いのではなく、ACモーターは信頼に厚いのです。

・・・しかし、LINNが1973年に作ったこのLP12という小さな枠は、人間の知性と技術力、探究心、困難に挑戦する精神・・を育てるために作られたように思えてきます。
この中で、この範囲で何ができるか。
まだいける、まだいける。
(竹田)

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