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パキスタンのイスラム神秘主義(スーフィズム)の宗教儀式曲カッワーリーの最高の歌手ヌスラット・ファテ・アリ・ハーン。

初めて聴いたのが、リアルワールドレーベルの「mustt mustt」だったので本来のカッワーリーとは違った雰囲気でしたが、喉を震わせて歌う独特の歌唱法やスキャットは、人の声の持つパワーというか、人の声でないような、ものすごいエネルギーを感じました。
それもそのはずで、ヌスラット・ファテ・アリ・ハーンの家系は600年以上の続いている、カッワーリーの名門家系で、その中でも最も優れた存在だったそうです。

そんな彼が、宗教儀式曲だけにとどまらず、映画のサウンドトラックに参加したのが、ティムロビンス監督の「デッドマンウォーキング」やマーティンスコセッシ監督の「最後の誘惑」です。

ライクーダーがプロデュースした「デッドマンウォーキング」はアルバム中、4曲しか映画で使っておらず、サウンドトラックというよりも「デッドマンウォーキング」をテーマにした各アーティストの作品集的なアルバムで、映画とは別の意味で完成度の高い作品です。
参加アーティストも、ブルーススプリングスティーン、パティースミス、トムウェイツ、ジョニーキャッシュなど、メッセージ色の強いアーティストが多数参加しています。

映画の内容もすばらしく、ショーンペン演じる死刑囚とスーザンサランドンが演じるカトリック修道女との心の交流を描いた作品で、実話に基いているそうです。この作品でスーザンサランドンがアカデミー主演女優賞を獲得しています。

この「デッドマンウォーキング」のアナログ盤をLP12SEで聴いてみました。
残念ながら、ヌスラット・ファテ・アリ・ハーンは1997年に他界していますが、アナログ盤の中にはそのときの生命感みたいな物が、ちゃんと記録されているんだなあと、あらためて実感いたしました。

フジイ

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