
定休日は風邪をこじらしてナメクジのように暮らしていたのですが、良かったことの一つにずっと敬遠していたマイルス・デイビスの音楽に親しみがわいたことがありました。
思えば遠くに感じつつも、オーディオと切っても切れない関係のマイルスの「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」は、この仕事についてから20年うーっすら触れ続けているというわけです。昔の知り合いもひょんなことから親しくなるみたいにして、知り続けていたことが経験となり、初めて心に引っかかったのです。
ここ最近の色々な積み重なりから、「ラウンド〜」を初めて自宅のオーディオで、かけました。
昨年店のイベント「名曲深掘り:ストラヴィンスキー 春の祭典」で、このイベントの文字起こしを最近していたので「春祭」周りと聞いていて、不協和音に耳慣れたのか「ラウンド〜」がするするするっと喉を通ったのです。割とあの出だしの音に吹き払われていたのか、あれ、こんなに良かった?と。
マイルスの自叙伝に、シナトラやナット・キング・コールなどのボーカルを聴いて勉強したような話があります。何かの雑誌は「シナトラが歌うように吹きたい」というマイルスの言葉を載せていましたが、トランペットって、歌ってるのと一緒なんだーとぼんやり思いました。一緒ではないけれど、とても似ている。
しかし、このアルバムと「カインド・オブ・ブルー」の完成度の高いことと言ったら。
トランペットといえば、クリフォード・ブラウンだけは、ずっと気持ちよく聴いていました。レコードで聞くと。早逝したクリフォード・ブラウンの凝縮された生命力にバッと気持ち持って行かれて、身を任せる。
今日はこのファーストプレスのモノラルレコードというのを、サウンドクリエイト創立前からの金野のお客様が持ってきてくださって聴かせていただきました。聴いてトランペットの材質の音を意識したのは初めて。生き物でした。
昨日はマイケル・ジャクソンの「Smile」で、PIEGAをセッティングしていました。GEN2の701。なんだかもっとマイケルを伸び伸び歌わせたくなって、なんだかんだしているうちに「いいじゃん」となりました。加藤は横で「私はCOAXよりかなシングルツイーターの701の方が好きなんです」と言っていました。彼女は低域がふくよかなのが好き。私は中高域が低域から開放されているのが好き。好みは聴く音楽によって人それぞれです。
マイケルの、歌に載せる繊細な感情が感じられると、じんわりしたものが胸に広がります。
午後、お客様がいらしてモーツァルト「レクイエム」を聴かれて、あまりの鮮烈さに驚いたのですが、お客様も横で驚かれました。GEN2 701とCOAX411だと、ふくよかな広がり、回り込みをとるかコーラスの解像感を取るか、、、となります。この録音だととりわけ解像度の良さに目を見張ります。
この録音が鮮烈でだったので今朝また聴いてみていました。そうすると聴きたくなる録音や演奏の違い。それができるのがオーディオの面白さで、昨今のサブスクリプションはその興味に拍車をかけます。
ベーム盤も久々に聴いてみました。鮮烈さは劣るけれど、こちらはこちらの良さがある。まるで別物です。(レクイエム比較ブログがこの間書いたと思ったら9年前で戦慄が走る)
演奏する予定は全くありませんが、ギターの奏法などを友人たちが教えてくれました。ロックのことをよく知らず、何を聴いても?ですか、何を聴いても面白くはあります。冒頭ブラッシング(ミスターブラウンストーン)ここアルペジオでフィードバック(ドント・クライ)。
そういえばガンズは、子供の頃から弟がジャカジャカジャカジャカやっていてうるさく思っていたけれど、マイルスと同じで知らぬうちに耳慣れていたのか懐かしくありました。
(竹田)