先日、海外から数年ぶりに戻られたA様のお宅へお伺いしました。
ここ最近、当店でもお勧めしているアクセサリのいくつかをお聴きになられたいとのこと。
アクセサリデモの前に、お引っ越しもされ、システムも変わっているので電源周りを一度拝見しましょう、と色々一式持参し、まずは音を聴かせて頂きました。
A様から「低域が出過ぎていて少し締めたいというご要望を頂いておりました。
聴かせて頂いたところ、低域が出過ぎているという以前に、分かりやすく言うと「ボワンボワン」といっている・・・。
でも私は最近学んだのです。この「ボワンボワン」と聴こえる低域は、実は正しい低域が出ていないために膨らんだり詰まったりして、そういった再生音になっているのです。
そして、これはスピーカー位置のセッティング以前に、電源環境を見直す必要があるということを・・・。
数回前、「バーチャルアース再考」で次回に続くような形で終わりましたが、中々ご説明が難しくて後回しにしておりました。
ここにきて触れざるを得ないようです。
前回もお話したとおり、「グランドループを取り除き、信号ラインとアースラインを正くつなぐこと」がこのバーチャルアースの目的です。
なぜそれが大事なのかというと、機器間の接続や、電源の取り回しにより、方向性を持たないアースは落ちやすい方向を探してあっちに行ったりこっちに行ったりを繰り返すのです。
これは、機器にとってかなり有害なこと。
機器類は、折角素晴らしい能力を持っていても、能力を発揮することができません。
そして、これはアースの落ちている環境、落ちていない環境に限らず、機器の作りに関わらず、どんな場合でも起きやすい現象です。
(アースが落ちていると、地中に落ちていくので逃げ道を作りやすいのですが、日本の環境においてはアースを地面に落とすことは非常に困難なことです。また、アースを落とせば全ての問題が解決するかというと、現在のデジタル機器の普及率、その他コンピューターを使用した家庭環境内では、アースを落とすだけでループをなくすということは非常にハードルの高い問題になっています。)
機器は、大まかに分けて3種類あります。
① 電源のアース・シャーシ・マイナスの3つが繋がっているもの(全繋がり)
② マイナスとシャーシが繋がっていないもの(抵抗で浮かしているもの)
③ 電源のアースが浮いているもの(主に日本仕様のものや2ピンの電源プラグのもの。※日本製は皆そうかと思うと、違います。また、海外製でも日本仕様に変更もされているものもあり、これを正しく繋ぐためにはその都度調べるしかありません)
プレーヤーとプリアンプ、更にパワーアンプと接続するとき、まずは機器がどのタイプに属するのか知る必要があります。
(これはテスターなどで簡単に知ることが出来ます)
そして、それぞれの属性を知った上で、アースのループが出来ないように留意し、電源の取り回しと機器間のインターコネクトケーブルやアース線を接続するのです。
むやみにインターコネクトケーブルやアース線を接続すると、一瞬よい結果が得られてもどんどん悪くなり、「最近なんだか聴き疲れする・・・」などと思うようになってきます。
接続のパターンは様々なケースがあるため、お店でもまだ研究中の部分はあります。
色んな事をやっていくうちに分かってきたことなので、以前の接続よりもっとよいものがあった、ということもあり得ますが、この部分はほとんど「ブラッシュアップ」と考えていただければと思います。
さて、既にちょっと長いので続きは明日へ!!
(竹田)