定休日に加藤を誘って、目白の自由学園 明日館へ行ってまいりました。
お正月に、前川國男の建築の写真集を手にして「建築」という「もの」?「観点」?が、今の気分にしっくりくるような気がしました。
今まで全然知らなかったけど、ちょっと知りたい。
そんなところで、割と最近出版された新書「日本の近代建築ベスト50」を足掛かりに、今年はちょっと散歩してみたいなと思っています。
手始め(本で紹介されているトップバッターでもある)に来てみたのが、フランク・ロイド・ライト設計の自由学園 明日館。
大正10年に創立された自由学園の校舎で、上写真の廊下は、校庭をコの字型に囲む形で左右に広げられた翼の片側。入り口から入って来るのがこの廊下。直線のみでデザインされたところどころの意匠にどことなく面影を感じます。
光が当たると青磁色に見えるグリーンで縁取られた窓枠や、門。排気口?にまでデザインが施される細やかさ。
下の写真は、彩光や通風のためと思われる、外廊下から建物内に入るドアの上部のデザイン。
自由学園は、キリスト教をベースにした教育とあったので、そのような感じからかも知れません?
私には、両手を挙げた人、人と人をまた人が繋ぐようにも見えます。学校は人が集うところだし、扉に仕切られる外と内とは、自分と他者のようでもある。そこに光や風の通り道は必要です。
建物の両翼をつなぐ中央の廊下は、潔くまっすぐ伸びる。
歩を進めて、左に目をやると外光が差し込むガラス扉。(下写真)数段降りたところから撮った写真。
もう少し先を進めて天井を見上げれば、フランク・ロイド・ライトの有名なランプの雰囲気。
少し天井が低く感じられるなと思うと、空間が開けてホールが現れます。
正面はステンドグラスを代用する形でデザインされた意匠で、採光の助けにもなっているようですが、代々のキリスト教国でない日本では、豪奢なステンドグラスより自然光を活かしたこの感じのほうが親しみやすい気もします。(もちろん費用を抑える意味もあったようですが)
当時の生徒たちによるものというフレスコ画。旧約聖書出エジプト記に材をとった一シーン。
ホールの柱、ランプ、椅子、、、。
数段階段を上がった食堂のランプ。徹底して直線でデザインされ、丸いのはランプくらい。こちらも潔いほどに球体。
食堂とホールを繋ぐ階段のなんてことない壁。この線の役目。
派手さや重厚感というのではなくて、この時代に学園を作ろうとした人たちの一生懸命さをフランク・ロイド・ライトがしっかり受け止めて丁寧に実用的に作られた、、、関わった人の存在を感じるような建物でした。
この後ちょっと銀座に戻って、ルカ・スカンジナビアさんに久々に顔を出したら主の輿石さんが出迎えてくれ「あそこ(明日館)は外と中が同じ高さなんですよ。段差がなかったでしょう。」たしかに!!言われるまで気が付かなかった!
自由学園を創立した羽仁夫妻の出版社「婦人の友社」もすぐ近く。この窓も素敵。ライトに師事し、自由学園の講堂を手がけた遠藤新の息子さんの建築だそうな。
ところで、最近お気に入りのNetflixドラマ「舞妓さんちのまかないさん」に、若手建築家が登場しますが、彼が自由学園や遠藤新の名を口にするシーンも!
あら、偶然、繋がった!と思ったのですが、知らなければ通り過ぎてしまうようなシーンで、きっと本でも映画でもなんでも、今までそんなことたくさんあるんだわ、知らないで随分損してきているわ私、と思ったり。
(竹田)