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LP12出荷台数10万台を記念してのLP12 SE UPGREADE (3種のアイテム)中の今日は最重要コンポの「KEEL」について少しお話します。
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素材は航空機アルミ合金からサブシャーシ、アームボード、アーム取り付けカラーを一体削り出しで加工しています。
これまでは2つの素材の違う部品から構成されていました。
鉄板折り曲げ加工のサブシャーシとMDF 材にメラミン材をサンドイッチしたアームボード。
組立ての際、アームボードとサブシャーシは3点ネジ止め、これがかなり年数が経ったりすると緩むことがおおかったのです。アームカラーのアームボードに取り付け時も同じことがありました。
がしかし「KEEL」のおかげで経年変化に伴うマシ締め等が皆無になるという物理的要素も大きいのですが、ただそれだけではありません。
鍛造アルミ合金ブロックからの一体構造削り出しと聞くとさぞかし重いと思いきや、オリジナル機の重量バランスを崩さないように総重量もほぼ同重量というのですから驚きです。

それはKEELの背面を見れば一目瞭然です。通常組立てられたものはサブシャーシは見ることはできませんが、オリジナルと重量バランスを保ちながら強度を得るため格子柄の肉抜き加工が施されています。表面は硬度と耐食性をあげるためにアルマイト処理され、肉抜きの深さは共振の分散と重量バランス考え、全体の共振のコントロールを主眼に設計されています。

さらに重要なのが平面の均一性の問題です。
軸受けと軸受けのホールド、アームの固定に関して最高のパーツを保持したいと考え、軸受けスピンドル中心とアームの水平方向軸の中心を統一のものとして実現し、これによって機械的な安定性が確保できました。
ここに完成したものがKEELなのです。

カートリッジの違いの音の変化ではないもっともメカニカルな部分にメスをいれた今回のアップグレード。
LP12の誕生以来、普遍の精度を誇るターンテーブル、インナーシャフト、軸受け部にも劣らぬ精度をもって追いついてきたようです。
完成後の姿で顔をだすのは、アームボードとアームカラー、そのアームボード上で誇らしげにさりげなく輝くLINN SONDEK の文字。
既にLP12のオーナーはもとよりこれからLP12のオーナーになろうとする人にもなんとも悩ましく罪作りな存在の「KEEL」。
その「KEEL」を纏ったLP12は全世界のアナログファンを魅了することでしょう。

最後に10万台記念もあるでしょうが、LINN 創始者の社長アイバーの還暦のお祝いとして完成した今回のLP 12 SE UPGRADE 、こんな内輪話しを耳にするとますますLINN というメーカーに魅力的な親しみを感じてしまいます。
(花木)

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