そもそもオーディオは音楽を聴いて楽しむための道具です。
”使う人にとって良い音である”ことが間違いなく重要であることは当然ですが・・・
たいていの場合、部屋の一番目立つ場所にスピーカーが鎮座し、まるでその家の主であるかのような存在感を放ち、手厚い扱いを(笑)受けています。ね?
「ルックス」が無視できない重い要素であることは間違いないでしょう。
”音質の追求”をうたう機材たちは、それぞれ技術的な、もしくは音楽的な”理由”を持った「形」に仕上げられています。
”理由”と”理由”をつなぎ合わせ、カタチにこだわってコンポーネントを構築するのも楽しみ方のひとつであります。
「造形」から「音」を想像して思いをはせる時間が、オーディオ好きにはたまらないのです。
しかし、しばしばのその想像は裏切られ、奈落の底に落ちたり天にも昇る気分になったりとすんなりとは行かないようです。
「古めかしいデザインのスピーカー」が高解像度でバリバリのハイファイ調だったり、「スタイリッシュでスマートなルックスのスピーカー」がコッテリ濃厚な音を聴かせたりすることがあります。
すると、今度は実際の「音」に合わせて「造形」を理解しようと無意識の努力が始まり、しまいには「ルックス」に対する評価と認識が変わってしまいます。
そんな時「ああ、聴覚が視覚を凌駕したんだ」と思ったりします。
「聴覚は視覚を補う」人間の感覚とは何と複雑なんでしょう。
皆さんも、オーディオショーに行って視聴覚に刺激を与えてみませんか?
(金野)