BLOG

ここのところ、イベントだ、移転だ、春だ、花見だ、雪だ、なんだと忙しい毎日でしたでしょう。
イベントやれば、「文化発信」だなんだと偉そうに言って、「オーディオやってんのか」と、どこかから言われそうに思ったりするのです。
ヴィンテージのことも、LINN LP12のことも、デジタルのことも、Brodmannも、PIEGAも、あ、納品例、家具、ギャッベ・・と頭があっちこっち行きながら、みんなにいい顔したいのだから大変です。
だって、好きなもののことは、いつでも心にかかっているので、ヴィンテージ向きながらPIEGAに不義理をしているように感じたり、LP12に一生懸命になりながらデジタルのことが気にかかったりするわけです。

それで、うちはオーディオ屋さんだから、ケーブルとかインシュレーターとかそういう情報もきちんと・・と急にオーディオマニア根性も頭をもたげたりするのです。

で、Ansuzがですね、インシュレーターで、とても良いのですけれどそれなりに高価なのです。効果も高いのですけれど。でもすごくいいしな、などとまごまごしていたら、大量ansuz投入されているお客様のO様が「その割にみんな話題にしないね。こんなすごいのに。自分だけが知っていればそれでもいいけど。」と仰られていたとかいないとか。

それで、今日は家でansuzをじっくり体験しようというわけです。
前置き長いですね。

兼ねてから気にかかっていたのは、自宅のLEAKのプリアンプ。
医者の不養生と同じで、人には「置き方は大事です」とか「プリアンプは頭脳です」とか言っておきながら、いっい加減な置き方していました。自分には「わかってる。ここの音はプリアンプの置き方よくすればもうちょっとよくなるって、わかってるってば」と言い聞かせながら、そのままにしていたので、いい機会。
これは、絶対効果が高いだろうなぁと、出来レースもいいところで置いてみたのです。
03E4F971-0459-4849-BEF4-AA9F7C2B0B46
違いすぎるだろ!(失礼)
というくらい違いまして、本当に全然違うんです。
心に沁みてくる。

それで、そんないい加減な置き方してたんなら、違いすぎと言ったって違って当然。
インシュレーターだったら何でもいいのか?というところですよね。

準備がいいというか何というか、こんな比較をしてみてしまいました。
2C3A1A0B-B6D3-4B4C-B980-1B62F10788DE
以前店頭でちょっと流行ったCOPULAREのCORAL LIFTER。
黒いもじゃもじゃのところが、人工珊瑚でアルミニウム・セラミックス。
要はもじゃもじゃのところでフローティングさせるような作りになっているのです。
Ansuzもそうなのですが、LP12に注力している弊店としては「フローティング」という方向性は。まずは良い可能性が高いと考えます。押さえたり、重さを加えるものはやはりどこか抜けが悪い。

このCORAL LIFTERも当時いいね、と言っていた覚えがあります。
お店から、Ansuzと2種類借りてきて、比較試聴。
比較は嫌いと言ったものの、対象がないと、お伝えしにくいということで・・。

で、ですね。お持ちの方には申し訳ありませんが、個人的にはAnsuzのインシュレーターが圧勝です。

まず、ベーム指揮モーツァルト「レクイエム」、コーラスの人数が増えました。層が厚くなって奥行きが出ました。
ヴンタリッヒの歌うモーツァルト「魔笛」から「なんて美しい絵姿」は、声が若く張りが出ました。音が痩せるという意味でなく、響きの輪郭も明瞭になって、歌い方が丁寧に。
ニーナ・シモン「Little girl blue」は、一音一音丁寧にピアノに指を置くような優しく静かな響きの冒頭。歌とピアノの表情がうまくブレンドされて、音楽の表情が豊かになりました。
この辺りの曲は、比べるとCORAL LIFTERを使った場合はちょっと雑です。元気と言えば元気だけれど、元気を売りにしている曲ではないので、雑だと曲の良さが十分に引き出されず聞き流してしまいます。Brad Mehldauのアルバムなども、丁寧に描かれないとつまらなく聞こえますが、ドラム、ベースが鈍らずに音が立つと、すごくインテリジェンスで面白い。
マイルス・デイビスの「Flamenco Sketches(Kind of Blueから)」。この曲の空気感には独特なものを感じていて、煙の中、あるいは靄の中に居て意識がところどころ研ぎ澄まされるような、気だるさの中の緊張感・・・という感じがあって、クールでで格好良いのですが、このクールさが、鈍らずにすごくよく出ます。

夜なので割合静かな曲ばかりで聞き比べたところがあるのですが、今日聞いた曲は、音が鈍ったり、雑になったりすると途端につまらなくなって魅力がなくなってしまうものばかりですが、Ansuzでプリアンプを浮かしただけで、このブログ書いていても音をずっと耳が追いかけてしまう。

今日のタイトルに話を戻すとすると、ヴィンテージアンプは、筐体もペナペナだったり(それがまた音の良さにつながったりするのですが)、頼りないゴム足だったりするので、Ansuzは絶対にいい。
アンプの持っている良さがものすごく出ると思います。

Ansuzでは、「ゴム」という素材そのものが、時間が遅れて振動がアンプ自身に戻ってくるのでよくないと言っていて、そうすると、ヴィンテージアンプというわけでなく、何にでも効果はあるということになるのですが、まずは自宅であまりにも違うので・・・さあ、どうしましょうね。
これ、明日店に返さなければならないわ・・・。

コメントは利用できません。