本日二つの挑戦を目の当たりにしました。
1つ目はLINN URIKA2。
先日、LP12の内臓フォノイコライザーが更に進化して、LINN独自のデジタル伝送のEXAKTに載せてデジタル出ししてしまう・・という奇想天外に見えて、めちゃくちゃ核心をついている製品が出ましたのは既にご案内の通り。(ちなみに、EXAKTスピーカーにしか対応しないのではなく、現行モデルのLINN DS/ DSMをお使いであれば、どんなプリアンプにも接続可能です。)
この製品が本日LOUNGEへ。
これには訳があって、先週LOUNGEで熱狂の時を送った「オーディオ哲学宗教談義」の宗教学者・島田裕巳先生がとても興味をお持ちで、なるべく早く聞かれたいとのこと。
LINN JAPANにちょっと無理を言って本日午後・明日午後LOUNGEに貸し出してもらいました。
そして、お昼に島田先生、夕方には哲学者の黒崎先生も間に合って、ご試聴の一幕。
島田先生からは「全然違うじゃん。今までの中で一番大きな差に感じる」とのこと。そのあともじっくり聴かれ、「ちょっとまだ正体が不明。まだ持ってそう」とのこと。
計り知れないところがあるのです。ホントに。
次のイベント(3/31)までに再度ご準備する予定。
黒崎先生は、1枚目ではなるほどね。違うねえ。とのことでしたが、ご自身のLP、ヨッフム指揮のベルリンフィル「ハイドン・交響曲No.88」のファーストプレス「赤ステ」をかけましたところ、オケの切れ際の美しいホールに溶け込む様が、本当に天にも昇るように美しく、そこにオケが蘇った感じが色濃い空気となって、「これはすごい。このレコードで聞いたほうがいいよ。」と大切なレコードを置いていってくださった次第。
とにかくお二人とも仰られたのは、録音のアラまで出してしまうので、装置がここまでのクオリティだと、かける盤も結構考えなければならないね、とのこと。
4K、8Kに画面が対応したものの、実際映されるものが同じレベルのクオリティでないと、心からの感動は確かに得られません。
しかし、どこかの時点で、高みを目指して挑戦しなければ、どちらも発展しない。
ここで今日、一つの挑戦を見ました。
夜は、店を18時に閉店させていただき、辻井伸行さんのコンサートへ。
デビュー10周年のソロコンサート。
前半は、ショパン、ドビュッシー、リスト、ラヴェルといった辻井さんのお得意の分野から。
そして後半が、新境地というような曲目が並びます。
ガーシュウィン「3つの前奏曲」、サティ「3つのジムノペディ」、カプースチン「8つの演奏会用練習曲」。
音楽のことは勉強もしていないのでよくわかりませんが、前半と後半に演奏されたものがはっきりとタイプの異なるものということはわかります。
ジャジーなリズムで軽快に始まったガーシュウィン、一音一音の存在感が印象的で響きと対話するようなサティ。
そして、最後のカプースチンはまるで暴れ馬を乗りこなすような・・
曲に対して辻井さんの向き合う姿勢がいつもと異なるのがなんとなく感じられて、「新しい挑戦だ・・・」と思った次第。
それは楽しそうで、まだまだ可能性を秘めていて、アンコールで演奏されたショパンの「別れの曲」が、なんとも清々しい別れに聞こえたものでした。
勝手なことを続けてしまえば、新しいことへの挑戦はそれまでの自分に別れを告げなければならないことでもあり、今日の曲目の並びに妙に納得したのでした。
音楽家を前に、勝手なことを言うのはおこがましいことでありますが、素直な感想を述べてしまいました。
そういえばもうすぐ春が来るのだなぁと思ったのでした。