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店内受付のある階、エレベーターが開くと試聴室から漏れ聞こえる音楽と、写真のようにFORIS TVで流れる映画が皆様をお迎えします。
天気や気分によって流す映画を決めています。天気が良いと「ローマの休日」や「旅情」のようなお天気の良さそうな映画をかけたくなりますし、雨が降れば「雨に唄えば」・・・。(単純)

今日の快晴は、何となく「マイフェアレディ」の競馬の場面を思い出しました。(店内にいるとエアコンで冷えているので、どうしても湿度という概念が抜けてしまいます。感じ方の誤差はそこに大きく表れるかもしれませんが、どうかお見逃しください)

音声学者のヒギンズ教授が下町のコックニー訛りで話す花売りのイライザ(オードリー・ヘップバーン)に徹底的に発音の教育をして、その成果を試すのが、この鮮やかな色彩で美しい競馬のシーンだったと思います。
上流階級のご婦人たちに、うっかりコックニー訛りを披露してしまうところが愉快に描かれています。
初めてこの映画を見た時は「美しく愉快な映画」としての印象しかありませんでしたが、先日面白い本に出会い、その中でこの映画に触れられていたこともあり、久々にまた見てみようかなと思いました。

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平凡社新書で「不機嫌なメアリーポピンズ~イギリス小説と映画から読む『階級』 」という著書。新井 潤美さんという方が筆を取られています。
「イギリス」とか「階級」というと、なんとなく堅苦しく感じますが、気楽に読めるのは映画や小説を題材にしているから。
そして何より著者の視点が大変フラットであることが最大の魅力だと思います。
この著者自身、子供の頃からイギリスのアッパーミドルやミドルクラス、アメリカの寄宿舎、日本の学校・・・と、転々とされていたとのこと。

イギリスの古くからある「階級」という概念を、面白おかしく誇張したり「差別」と繋げて糾弾したりせず、丹念な作業で小説や映画を紐解きながら、紹介しているのです。(「紹介」という言葉が果たして適当かどうかはわかりませんが)

原文で読んだり見たりできればさぞ面白いことと思いますが、出来ない私にとっては暗号解読書のようで大変面白い読みものでした。

背景を知ると知らないとでは、楽しみ方も変わってゆきます。
彩りを添えるのは自分自身。そしてとっても良いことは、いつ始めても遅くないということ。
話しが随分脱線しましたが、この店に入って2年を超え、よく思うことです。
(竹田)

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