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「音楽は何を聴きますか?」という問いに「JAZZも少し」と私も口にしてもよいかな?と思えるようになった初めのレコードは、例にもれずビル・エバンスの「ワルツ フォー デビー」でした。
おそらく、「JAZZ」や「オーディオ」と名の付く雑誌・書籍・HP・掲示板・・・エトセトラに、何度その思いを綴られているか数え切れないでしょう。
ですので、今更私が口にするのもおこがましいようですが、やはりよいですか?書いてしまっても?

その出会いはLP12で起こりました。残念ながらスピーカーは覚えていません。
お客様が聴かれる後ろで、スタッフHがおもむろにかけたのがこのレコードでした。
ピンク色のノスタルジーを感じさせるジャケットが、5月の風のどこか懐かしい匂いと重なって、にわかに切ない気持ちになったことをよく覚えています。
「ビル・エバンス」はとても有名な人で、その後すぐに本やらCDやらを数多く買ってみましたが、結局一番聴くのは「ワルツ フォー デビー」。何かというとこのアルバムに戻るのでした。

さて、しかし実は昨年1年ほどまったく聴かない時期がありました。
あんなに好きだったのに、「ビル」の「ビ」の字も出ないくらい。
一度、ハイエンドシステムで期待して聴いたところ、聴こえてきたものはまったく求めているのとは異なる音楽でがっかりしたこと、セッティングを少し覚えるようになってからは、このレコードを聴いてもセッティングが難しく感じられて、あまりかけなくなったこと、クラシック音楽にすっかりはまってしまった時期だったこと、そうしたことが重なってしまって、何となく聴きたいけれど聴きたくないレコードになってしまったのです。おそらく、初めに聴いた時よりも色々聴いて欲が出てきたのでしょう。
その時は、自分の欲しい音を作る手立てがまるでなかったのです。

昨年、一度それはまたお客様の試聴の際にGALLOのreference?で聴いた時は、思っているものより明るめだったけれど、それはそれでクッとハートを摑まれました。楽しげだけれど、優しい陰影を持っているデビーのワルツは実際エバンスが姪を見る目に近かったかもしれない。そう思いました。
私は、あまり強く鍵盤をたたく感じや、ブインブイン言うベースの音がこの曲に合っていると思えないのです。芯がなくてはならないけれど、輪郭がどこか淡い、思い出のように聴きたいのですね。エバンスのピアノとスコット・ラファロのベースのとろみのあるかけあいで始まらないと何も始まらない・・・。

最近、セッティングの際にリファレンスする1枚にこのソフトが加わりました。
「こう表現したい」という「ワルツ フォー デビー」が自分の中に明確に形になったからです。それは、実は昨年の掲示板で書いた電源周りに手を加えた日に経験した音でした。(12月6日)今は毎日その音を求めて・・・です。

追記 でもこの演奏って、オーディオだけでなく人生の経験値で断然聴こえかた変わってくると思いませ
(竹田)

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