昨日の続き・・・
LINN BOOKを見ると、メタルワークの工程で、折り曲げ加工の後、研磨するパートもあったようなのですが、回った時研磨作業のテーブルはあいにく無人でした。
訪問したのが1月のあたまで休暇中のスタッフが多いのと、丁度「お十時」の休憩時間に重なって、こういうこともあり。
ちなみに、LINN PRODUCTS全体では約170人。
うち、50−60人がFactoryで働いていて、約半分が女性。
開発に50人(女性は今は1人。以前は3人いたよとのこと。)
セールス、マーケティングは約30人。(これも男女比率は、半々か6:4くらい)
オフィスに50人
とのこと。
仕事を掛け持ちしているスタッフもいるので、ちょっと誤差はある。
工場に女性が多くてビックリしたと話したら、社長のギラード氏が日本のメーカーの工場に訪れた時にも同じことを思ったよ、とのこと。
さて、先へ進みます。メモするのと写真撮るので、忙しいのなんの。
これはメタルワークの次のステップ。「洗浄」
昨日の過程を見ていても、当然指紋がついたり、アルミの粉がついたりしますから、塗装の前にまず洗浄。
手順は3段階。まず洗浄液が入った槽、その後冷水の洗浄槽・二槽を経て終了。洗浄剤も環境を配慮したものを使っています。
ヨーロッパでは、製造業としてエコに貢献することは1つの重要な要素のようで、デンマークのフリッツハンセン(デンマークチェア)の勉強会でも、エコの活動に貢献していることを強調していました。
LINNのシステムのメインスイッチが、リアパネルからフロント手前の底面に移動したことも、電源ON/OFFをしやすいためだったり、EXAKT SPEAKERがスタンバイ時はほぼゼロに近い消費電力ということなども、やはりエコを考えてのことですよね。
洗浄が終わって完璧に乾かし終わったら次は「塗装」。
銅のワイヤに吊るされたフェイシャがゆっくり塗装の工程を廻っていきます。まずはパウダーコーティング。
その後、これを定着させるための焼き付け。
これは約30分のコース。シャーシよりもっと厚みのあるもの(スピーカースタンドなど)は、その約3倍。
吊り下げられて、辿々しく進む様を見ているとディズニーランドのアトラクションを思い出してしまう。(ホーンテッドマンションとか、リトルワールドとか。)
200度の熱で焼き付け。写真には写っていませんが、右奥に火が見えています。
塗装が終わったらスクリーンペイントへ進みます。
製品に印字されている全ての文字(フロントパネルの製品名、リアパネルの端子配置表示、底面の注意書きなど)が、ステッカーではなくスクリーンペイントで行われます。
全ての製品のフロント・リア・底板の版があります。
ちなみに下の写真はスクリーンの文字が分厚い事が理由で不良扱いとなって弾かれたKLIMAX DSのシャーシ。
これを検分するのも人の目。
なんだかんだ、どの工程でも熟練工の目は誤魔化せないのです。
メタルワークの過程はここで一旦終了。
KLIMAXシャーシの製造に関しては、この過程とは別にあり、工場をもう少し進むうちにお目にかかります。
しかし、今の段階では、音が聞けるどころか、内部基板までも到達していない。
大半は機械がすることとは言え、セットや、きめ細やかな確認は人の手によるもの。
シャーシの一面だけを見ても、このような工程を通って私の手に届いていることを知ったら、なんだか自宅のDSMが愛おしくなってまいりました。
工場で見たパーツ達も世界中の新しいユーザーもとへ届けられるのでしょうが、途方もないことのように思えてきます。
オーディオ機器は、車などと違って、何かの間違いで人の命を危険にさらしてしまう・・ということはないでしょう。
しかし、趣味の要素がとりわけ強いものとしては同じくらい重要度は高いかもしれません。
手元に届いたものを聞いて「これにして本当によかった!」とお客様が思う。
送り出された全ての製品でそうなるように、機械が請け負う仕事と人の手による仕事が理想的に融合している。
この先の工程で、ますますこのことを実感していきます。
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