五味康祐氏の「オーディオ巡礼」に『英国デッカ社の≪デコラ≫』という稿を読んで、
どんなに素晴らしいものだったのだろう、と思いを巡らしていたら、お客様の「どこどこでデコラを聴いて・・・」という話が耳に入るようになりました。
今でも聴ける機会があるのか、と思ったものでした。
それから1年経たない今、デコラがLegatoに入ってきました。
うなぎの寝床のような小さなお店なので、入ったとしても、聴ける環境を作れるのかどうか不安だったのですが、入ってみると「縁は異なもの」・・・。
デコラが入ってLegatoは何だか雰囲気が変わりましたでしょう?
そんな感傷はさておき、
デコラです。
このスピーカーは、1950年代後半のもの。
五味先生の言葉を借りれば「コンソール型のステレオ電蓄」。
つまりは、アナログプレーヤーも、チューナーも、アンプも、スピーカーも(さらにはレコード収納まで!)この1台の中に入っているというワンボックス・システム。
アナログプレーヤーの左手前にメインスイッチがあり、ONにすると全てに電源が入り、音が鳴ります。
DECOLAは、最初は100台限定で作られたそうで、その後手を加えられ更に生産されているとのことですが、これは初期モデルでシリアルナンバーはなんと28番。
搭載されているプレーヤーも後期のガラードでなく、コーラル。
背面の裏ぶたも綺麗な造り
裏ぶたを開けるとそこに・・・
今も健在のアンプ群。
右チャンネルスピーカー上の、左右バランスや、ボリュームの調整部分。
しかし、50年以上前のものとは思えない美しい造り。
これが当時のまま残っているとは本当に驚きです。
グリーンのサランはシルク。
サランネットを外すと・・・
スピーカーは片側だけで6つのツイーターと、35cm幅くらいの楕円形フルレンジユニットを搭載。
それが本体の両側に。ユニットは全てEMIのもの。
この楕円形ユニットは、中央にアルミの塗装がしてあり、帯域を変えているんだそうです。
更に特筆なのは、このフルレンジユニットは、完全にフローティングされていて、下も上も横も空間が抜けているのです。これがどうも味噌らしい。
しかし、細部に渡り、本当に美しい仕上げ。
これは、当時家が一軒建つほどの・・・というのですから、Legatoにあること自体が、不思議な巡り合わせです。
しばらくの間店頭でお聴き頂けます。
アナログレコードはアームを修理中なので、ソースはDSで・・・。
是非一度はご試聴になられてみて下さい!!
なのです。