先日お客様が持込まれたバルトークの「2台のピアノと打楽器のためのソナタ」のCDを聴かせて頂ました。
久しぶりに聴きたくなったのは、以前別のお客様宅で出会って以来よく聴いていたこのソフト。
1993年録音
【マルタ・アルゲリッチ/ネルソン・フレイレ=ピアノ】
【ペーター・ザードロ/エドガー・ガッジース=打楽器】
静寂と緊張から始まるこの美しく激しいソナタは、ピアノが持つあらゆる響きが試されていると言われています。
混沌と調和、単純と複雑、静と動・・
2台のピアノの奥に配置された多数の打楽器、時には打楽器の様に強打されるピアノとアルゲリッチの情感は、大きな抑揚の“うねり”を生み出します。
僕が初めてこのCDを聴いたのは、上にも書いたようにあるお客様のご自宅でのこと。
CDプレーヤーの IKEMI をデモンストレーションさせていただいたときでした。
ともすると、バラバラになってしまいがちな多数の打楽器と、反対に混濁してしまいそうな2台のピアノ。
IKEMI は見事にひとつの音楽にまとめ上げ、複雑な構成を緻密に構築したことを思い出します。
「僕は今までこの \2,000のCDのいったいいくら分聴いていたんだろう」とお客様がもらされたのをよく覚えています。
MAJIK CD がこなれてきたので、久しぶりに聴いたアルゲリッチのバルトークは・・
空間が一気に広がり、厚く、深い。
加えて、打楽器の音色の描き分けの明快さ、抜けるような木琴の立ち上がり、空気を揺るがす大太鼓、時には戦い時には寄り添う2台のピアノの起伏ある旋律。
久しぶりに聴くCDで新しい発見や興奮をするのは楽しいものです。
数年前のあのデモンストレーション、お客様の言葉を思い出しました。
(金野)