music

最近またシナトラにはまっております。しかも落ち着いたバラードもの。
かといってエリントン楽団のスイングきいたJAZZも大好きで踊りたくなってしまうのですが、毎晩必ず聴くのはシナトラの「A Man Alone」。
全曲ロッド・マッケンの詩集にメロディをつけたもので、マッケン本人のプロデュースによる美しいアルバムです。

朝靄のように右から聴こえてくるチェロやベースの深い響き、左から柔らかい光のごとく入ってくるヴァイオリンの音色の漂い、ハープが奥から聴こえてきて、空がいっきに明るくなり始める・・・。
そんな光景が目に浮かびます。
そんな中、1人の男が今日もいつもと同じ朝を迎える・・・。
男は、過ぎ去った日のことを思い出す?思い出さない?
でも彼に漂う哀愁には、過ぎた日の様々な記憶が内包されている・・・。

思い出というのは、必ずしも時系列に思い出されるものではなく、ふとした何かのきっかけで糸のほつれが解けて行くようにワッと一気に思いだされる事があります。しまいこんでいる場合は特に。
言葉に変える暇なく様々な光景が頭によぎって、胸がいっぱいになる・・・。
この道は正しかった?他の方法があった?悔みや、反省や、悲しみや、やるせなさ、あきらめ、そういうものがないまぜになり、でもそういう全てを内包した今を生きている・・・。

この歌を聴いていると、そんな風に思えてくるのです。
決して、後ろ向きな暗い歌というわけではない。
人が生きるということは、そういうことだと思うんです。

この「A Man Alone」、シナトラは全盛期に比べ声が出なくなっている頃なのだそうです。
でも、素晴らしい歌。
そう、決してテクニックや力ではない。「歌は心」だ、と思います。

Legatoにて、LINN AKURATE212SEで聴いて、こんなことを思うのでした。
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