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PIEGAハイエンドブックシェルフTC10Xをむかーし使っていたワタクシとしては、PIEGAのブックシェルフ愛は深く、愛というのは時に厳しくもあるもので、毎回新モデルが出るたびに、厳しい視点も注いでいたところがあったのですが、今回のCOAX411にはまるっきり感服です。
お客様が「コレは素晴らしい」と言ってくださると、もう気持ちが駄々洩れで止まらない・・・。

今日はPIEGAご試聴の中で印象に残った3つのエピソードを。

・昨年からスピーカーを検討されていて、様々なスピーカーを聞いて回られていた方。
音量的には大きくも、ごく小さくもなく、静か目のJAZZやソウルを聴かれていた方。(例えばマンションで夜10時くらいでも大丈夫そうな再生音)
ボブ・ジェームスやウィル・ダウニング、ブライアン・ブロンバーグなど。
これがCOAX411の自然さと言ったらない。ヘタすると、ハイが立ちすぎて耳に付いたり、中高域がある程度明瞭でないと、キレが悪く聞こえたり・・と中々、鳴らすのに手ごわい音楽だと今回改めて思いました。
というか、COAX411で聴いて初めて音楽が面白く、音楽性が浮き彫りになったように感じました。・・というのは、私の印象で、おそらく様々なスピーカーを聞き歩いてきたお客様は、選曲した1曲目の冒頭で「すっばらしすぎる・・・」と、かけていた椅子に腰を沈めていらっしゃいました。

・ヴィンテージスピーカーをお求めいただいた方がCOAX411に興味を。
店頭のLINN SELEKT Edition一体型で聴かれ「素晴らしい」。でもこういうのヴィンテージアンプで鳴らすのは難しいだろうね。
お客様がお使いのアンプは名機マランツ7+マッキン MC75。ガラードのターンテーブルに、LINN AKURATE DS。
個人的興味満々で、ご注文のヴィンテージスピーカーご納品の折に、持って行って繋いでみちゃいます!?
とご提案し、聴かせていただきました。
お客様は割とボリューム上げめで、クラシック全般を中心に、JAZZ、ソウルなど幅広く聞かれる方。
録音も古いものから新しいものまで。(ETERNAレコードや、配信の最新録音も縦横無尽に聞かれる。)
弊店では、ヴィンテージスピーカーに最新アンプの組み合わせはしていますが、その逆はあまりなし。
アフターのメンテナンスや良品の選定が今のマンパワーでは難しいので、むやみに手を出していないというのが正直なところなのですが、往年の名機で最新のスピーカーって、どうなんだろうという興味はあります。
これが・・無口になるか叫ぶかどっちかしかない・・ほど素晴らしかった。

お客様が聞かれた中の一部。
アイザック・スターンや、グルダ、シュワルツコプ、ハイフェッツ
オスカー・ピーターソン、ルイ・アームストロング、
ちあきなおみ、TIDALの最新に上がってくる深いい声のJulia Bullockなど。

お客様がひとしきり「これはすごい、これはいいスピーカーだ。ヴィンテージアンプで十分鳴るじゃない」と聞かれたのちに、
好きなのを聞いていいですよと言ってくださり、数曲聴かせていただきました。

カール・ベーム指揮モーツァルト「魔笛」から夜の女王のアリアとパパゲーノの「Hm,hm,hm」。
夜の女王のアリア、ソプラノのコロラトゥーラ—高音を細かく速く旋律を歌う部分の、声の抑揚やスピードが全くブレることがない。
盤石な土台の上で、ロバータ・ピーターズの超絶技巧が息切れすることなく、これほどまでに余裕をもってのびやかに披露されるのは初めて聴いた気がします。
フィッシャー・ディスカウのパパゲーノのよく制動された「Hm,hm,hm」はそれだけ聞いていても、人の声の多彩さや素晴らしさ、この才能に感謝してしまう。
ドゥダメル指揮ベルリン・フィルのベルリオーズ「幻想交響曲」の鐘の音は、鐘の材質や厚みまでが感じられるような響きでした。
いい経験をさせて頂いた!


・トールボーイの他ブランドのスピーカーに興味があって、聴きにこられたお客様。思ったより上と下のつながりがなぁ‥期待していたんだけどなぁ・・とのことで、隣にあったPIEGA COAX411を最近評判がよいので、と聞いていただきました。
リクエストはブーレーズ指揮のマーラー交響曲3番の2楽章。
聴き終えたあと、
「私、この時ここに居たんですよ。あの日どれだけ寒かったかとか、指先の冷たさとか、そういう細かいことを思い出しました。そういうことを思い出させるというのは、いいスピーカーの証拠だ」

いいスピーカーというのは、人に音楽を語らせる。
そう思います。

(竹田)

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